最近無料で勉強動画や勉強法を投稿するYouTube,無料で教育動画を配信するサービスが増えてきたように感じます.
中には志高く「無料で教育動画を作ることが,教育格差の是正につながる」と思っていたり,そう謳っていたりする人がいます.
しかし,そうやって無料のサービスの中で競争して淘汰されて残る先に何があるのかを見極めないと,本当にやりたいこととは違った結末を迎える恐れがあります.
今回はそのことについて述べていきます.
あらかじめ述べておきますが,この記事は,そういった活動をすること自体を非難するものではありません.
教育格差が起こる背景
学校の教育のみで,地域や経済的な背景関係なく,平等な競争によって高校進学・大学進学が可能ではないという前提にまず立ち,学校外での教育が必要であることが,普通だと考えます.(よって「学校の教育だけで高校は受かるし,大学も受かる」という反論はここでは退けます.)
そうすると,地域的な格差,経済的な格差によって,子供が受けられる教育水準に格差が生じて,それが結果的に本人の能力とは別に,学力的な差が生じてしまいます.
そういった格差を是正するために,
「それじゃ,無料で,塾で教えるような進学情報を伝えたり,授業を配信したりすれば,経済的地域的な格差関係なく,アクセスすることができる」
と考えます.
(実際そのように考えるのは学生とか特に多いです.)
選択肢を増やすとそれを取捨選択する能力が求められる
今回の問題提起です.
アクセスを作れば,教育格差は是正するかと言われると,もちろん,それで役に立つ人はいますが,全体として見ると必ずしもそうとは限りません.
理由をいくつか挙げると,
そもそも情報にアクセスしない
・経済的な格差(特に貧困家庭)は,そもそもの環境要因(教育資本)側面もあり,生徒自身の勉強の動機自体がないことが多い.つまり,勉強のやる気がそもそもない.
アクセスしても必要な情報を抽出できない
・情報を増やすとそれを取捨選択し,自分に必要な情報だけを抽出する必要がある.元々それが出来る人は良いが,中高生ではそれができない人が多い.
結局必要な情報を提供してくれる有料サービスを受けた方がコスパが良くなるわけです.お金をかければ合格する確率を上げられるとしたら,お金をかける家庭が多いからこその現状が今だと思っています.
さらに,無料でそういったサービスを誰でも作ることが出来るということは,本当はそれを精査する(本当に正しい情報かどうか判断する)必要がありますが,それは行われないということになります.すなわち投稿者自身が間違った情報を提供しても,それを判断してくれる人はいなくて,そのまま一生存在し続ける可能性があるわけです.特に,学生がそのようなことをやると,その傾向が高まると思います.
有料のサービスには有料たるだけの所以があるわけです.無料にしたらじゃあ解決というわけではない上,その活動をただただ続けても,それは単なる自己満足に終わる可能性もあります.
それじゃあ,新規参入してはいけないかというとそれがまた難しいところで,そもそもそういった無料のサービスがないと困る人も多いです.なので,なくしてはいけないのですが,ただ多すぎるのも良くないです.だから適宜不要な情報を減らして欲しいのですが,減らすことが第三者から(何かしらの法律違反をしない限り)減らすことができないので,難しいところです.
結局どうすれば格差是正するの?
ではどうすれば格差をなくしていけるのでしょうか.そこには色々な答えがあると思うので,読んだ方は,是非考えてみてください.以下,自分なりの現時点での考えを書きます.
自分は格差を是正しようとしないことが結果的に良いと思っています.
どういうことかというと,教育は結局人と人との繋がり,コミュニケーションで決まるので,違いが出るのは当然です.それを格差と呼ばずに,「みんな違ってみんな良い」と思えるようにしていけば良いと思っています.つまり,格差という発想自体を変えていくわけです.
格差と呼ぶのは,そもそもの評価軸が偏差値という学力に限定されるからです.実際学力によって確かに能力に差が出ますが,学力以外にもその人の能力を評価することはできると思います.しかし,現状は学歴社会であるが故に,「教育格差」と呼ばれるのだと思います.
なので他の評価軸を設けつつ,教育のあり方自体を見直す必要があります.しかし,そんなのんきに考えていては,今の子供たちは不幸を被るので,現状ベストなのが,とりあえず教育的なサービスを受けられていない,弱者の人たちになるべくアクセスし,人と人との繋がりを作る機会を作ることだと思っています.
だからこそ,より競争を激化させるような「選択肢を増やす」こと自体,もう少し教育全体を俯瞰して見直して欲しいと,最近思います.
あくまで個人的な考えなので,他の人には他の人なりの考えがあると思いますし,それを否定はしないです.また,これは今の自分の考えなので,今後変化していくこともあると思っています.ただ,あくまで自分はこういう風に考えた結果,今の教育活動をしていると思って欲しいです.